擁壁の設計 片持梁式(L型・逆L型・逆T型)/コンクリートブロック土留め — 建築基準法施行令第142条・宅地造成及び特定盛土等規制法施行令第9条・RC規準 準拠 [v260930_r1]

ケース: 1 / 1
L型擁壁かかと版のみ(隣地が低い側に築造)
逆L型・逆T型擁壁つま先版+かかと版(かかと 0 で逆L型)
コンクリートブロック擁壁CB土留め:ブロック壁+RC底版

入力諸元

基本入力
詳細設定
表題
擁壁の形状

底版幅 B = L1+T1+L2 = — mm / 背面土の高さ(前面GL基準)= H1−Hp = — mm

※ブロック高さは作図のみに使用し、計算には使用しません。

土圧・背面土

※ μ=0.3 は「擁壁の基礎底面から少なくとも15cmまでの深さの土を砂利又は砂に置き換えた場合に限る」(別表第三)

支持地盤
使用材料
設計配筋
鉄筋径ピッチ 壁体基部 壁体中間 底版前部(つま先) 底版後部(かかと) 作図用の配筋(任意) 縦筋(前面) 壁体 横筋 底版 圧縮側 底版 配力筋

「自動設定」は指定径以上で検定比 ≦1 となる最経済の径・ピッチを選びます。
手動の場合はピッチ(@)を選択。CB壁の縦筋は空洞ピッチに合わせ @200〜800。

背面地盤の形状
断面設計

引張鉄筋重心までの距離は かぶり厚さ+鉄筋径/2 として、配筋の径から自動で計算します。

地震時の検討

※「直接入力」土圧の場合、地震時の検討は行えません。

すべり止め突起
底版前部上の土
壁体応力
許容応力度(RC規準 6条により自動)
常時(長期)地震時(短期) コンクリート fs [N/mm²] ブロック壁 fs [N/mm²]
保留(暫定値)
鉄筋 ft [N/mm²] SD295 SD345 SD390 SD490

ブロック壁のせん断の許容値はブロック塀規準に規定がないため保留とし、暫定値を入力します。

許容安全率
常時地震時(必要) 転倒 滑動 地震時の推奨値

計算結果

入力すると結果を表示します。
構造図
検定結果
計算の内訳
検討状態: 土圧: 検定比一覧
※ 寸法記号は「基本入力」タブの入力に対応します。紫の破線は断面設計位置(「設計配筋」の区分)です。
安定計算
kN kN
kN kN kN·m
kN kN kN·m
kN kN m
応力と荷重許容・限界値検定比
断面設計
断面M (kN·m)at (mm²)配筋検定比
壁体基部
壁体中間
底版前部
底版後部
τmax N/mm² 壁体:  底版:
入力すると計算式が表示されます。

ケース一覧

No表題種別 安定計算断面設計 最大
検定比
総合
判定
並替 / 削除
転倒滑動支持偏心 壁体
基部
壁体
中間
底版
前部
底版
後部

※ 行をクリックでそのケースに切替。各検定比は常時・地震時(検討する場合)の最大値、部材は曲げ・せん断の大きい方、最大検定比=各項目の最大、総合判定=常時・地震時の総合。1.0超は赤字。⚠ は判定に含めない注意事項あり(カーソルを合わせると内容を表示)。

使い方・計算ロジック

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このアプリについて

片持梁式(反力式)鉄筋コンクリート擁壁の L型・逆L型・逆T型 と、コンクリートブロック(CB)土留め(ブロック壁+RC底版)について、 宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 第9条(鉄筋コンクリート造等の擁壁の構造)の構造計算(転倒・滑動の安全率 1.5、地盤の許容応力度、別表第二の土圧係数・別表第三の摩擦係数)に基づく安定計算と、 日本建築学会『鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説』2018(以下 RC規準)6条の許容応力度による壁体・底版の断面検定を行います。 高さ 2 m を超える擁壁(工作物)の構造計算も、建築基準法施行令第142条第1項第五号に基づく平成12年建設省告示第1449号 第三により、同条の構造計算によることとされています (告示の文言は旧 宅地造成等規制法施行令第7条。同条の規定は現行の宅地造成及び特定盛土等規制法施行令第9条に引き継がれています)。 CB土留めの壁体は、日本建築学会『コンクリートブロック塀設計規準・同解説』(以下 ブロック塀規準)の算定式と壁体重量を用います。 地震時(物部・岡部式)、すべり止め突起、前面受働土圧、背面勾配などは「詳細設定」で扱います。1つの断面を「1ケース」として複数ケースを管理し、まとめて計算書・姿図を出力できます。

使い方(基本の流れ)

  1. 画面上部の種別タブで L型/逆L型・逆T型/コンクリートブロック を選びます(ケースごとに保持されます)。逆L型はつま先版のみ、逆T型はつま先版+かかと版で、「かかと長 L2」を 0 にすると逆L型になります。
  2. 左の入力諸元を入力すると、右の構造図(寸法・荷重)と判定・検定結果が入力と同時に更新されます。まず「土質から一括設定」で γ・Ka・μ を入れ、寸法を調整して安定計算が OK になる底版長さを探すのが早道です。
  3. 判定の下に ⚠ 注意 が出た場合は、判定(OK/NG)とは別に確認が必要な事項です(地震時の推奨安全率、摩擦係数の上限、CB の適用範囲など)。
  4. 内容が固まったらツールバーの「✓ 確定」でケース一覧に登録されます(未確定でも計算・保存はできます)。行クリックで再編集、↑↓で並び替え、×で削除。
  5. 「🖨 計算書出力」でA4計算書をブラウザ印刷・PDF保存できます(全ケース出力では先頭に一覧表が付きます)。
  6. 「📐 姿図出力」で寸法・土の高さ・配筋を記載した姿図(A4 縦・1 ケース 1 枚、実寸の縮尺)を出力できます。計算結果は記載しません。
  7. 入力一式は「💾 保存」でJSONに保存、「📂 開く」で読み込めます(旧版のファイルは形状から種別を判定して読み込みます)。

入力のポイント

  • 寸法は mm、力は kN/kN·m、応力度は N/mm²、単位重量は kN/m³。すべて壁の単位長さ(1 m)あたりで計算します。
  • 壁高さ H1 は前面GLから壁天端まで、根入れ H2 は前面GLから底版下端まで。背面土の天端を壁天端より下げる場合は 天端立上り Hp を入れます(土圧を受ける高さは H1−Hp+H2)。根入れは見付高さの 15% かつ 35 cm 以上が目安です。
  • CB土留めのブロック高さは目地を含む高さ(基本形ブロックは 190+10=200 mm)で、構造図の横目地を描くためだけに用います(計算には用いません)。底版上面から壁天端までが割り切れないときは、最上段を端数の段として描きます。
  • 土質から一括設定は宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 別表第二(単位体積重量・土圧係数)・別表第三(摩擦係数)の値を入れ、土圧の計算方法を「直接入力」にします。別表第二の単位体積重量 1.8/1.7/1.6 t/m³ は 18/17/16 kN/m³ として扱います(慣用換算。厳密には 17.7/16.7/15.7)。 別表第三のシルト・粘土の摩擦係数 0.3 は「擁壁の基礎底面から少なくとも 15 cm までの深さの土を砂利又は砂に置き換えた場合に限る」とされています。
  • 表面載荷 q は宅造で 5 kN/m² 以上、木造2階建て程度で 10 kN/m²。フェンス等の天端荷重 Wf(kN/m)は壁天端中心に作用させます。
  • 許容支持力 qa は地盤調査から別途算定した長期の値(平成12年建設省告示第1113号等)を入れます。地震時は「詳細設定」の「地震時の検討」の短期許容支持力 qa′ と比較します(空欄のときは長期の 2 倍。建築基準法施行令第93条)。擁壁下地盤には建物基礎より大きな支持力が必要になることが多く、地盤改良の場合は σmax を改良の設計値に渡します。
  • 許容応力度は RC規準 6条により自動で決まります(コンクリートは Fc から、鉄筋は径ごとの材種から)。入力は不要です。鉄筋の材種は「使用材料」の「鉄筋径ごとの材種の指定」で変更します。
  • 許容安全率(詳細設定): 常時 1.5 は宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 第9条第2項第二号・第三号(転倒モーメント・滑り出す力が抵抗の 2/3 以下)によります。地震時は 1.0 以上で可(判定)、推奨値(既定 1.2)未満は注意表示。偏心の制限は e ≦ B/6(常時)、B/3(地震時)です。
  • 設計水平震度 kh(詳細設定の「地震時の検討」)の既定は 0.25 です(宅地防災マニュアルが大地震時の盛土の安定計算に用いる 0.25×Z の Z=1.0 に相当)。地域係数 Z(建築基準法施行令第88条第1項)や適用する指針に応じて変更してください。
  • 配筋は「自動設定」(指定径以上で検定比 ≦1 となる最経済)か、径とピッチを手動指定。RC は D10〜D41・@100〜300、CB壁の縦筋は D10〜D16・@200〜800(ブロック塀規準 2条:原則 D16 以下、5条:縦筋間隔 800 以下)。
  • 姿図の配筋: 主筋は計算で選定した配筋(地震時も検討する場合は鉄筋量の多い方)で、底版は曲げの向きから上端・下端を決めます。壁厚 T1・底版厚 D1 が 200 mm 以上の部材はダブル配筋とし、計算しない側(壁体は前面側)の鉄筋は「初期配筋の設定」の径・主筋と同じピッチで記載します。壁体の前面の縦筋と底版の圧縮側(つま先版・かかと版それぞれで主筋の反対の面)の鉄筋は、「設計配筋」の作図用の配筋(任意)で指定することもできます(指定するとそれぞれ壁厚・版厚にかかわらずダブル配筋として記載)。壁体の横筋・底版の配力筋は同じ欄に入力したものを記載します(空欄は記載しません)。いずれも計算には用いません。CB壁の縦筋はシングルです。
  • 姿図の下部には特記(左下)と設計条件の表(右下。入力した許容支持力度・背面土・載荷荷重・材料・かぶり厚さなど)を付け、底版の下に捨てコンクリート(t=50)と砕石(t=200)を描きます(底版より両側に 50 mm 張り出し)。すべり止め突起を設ける場合は底版の下に突起を描き、位置・幅・高さの寸法を記入します(幅・高さは「すべり止め突起」の作図用の入力で、計算には用いません)。捨てコンクリート・砕石・突起の寸法は姿図だけに描き、画面と計算書の構造図には描きません。
  • かぶり厚さ(詳細設定)を入力すると、引張鉄筋重心までの距離は かぶり厚さ+鉄筋径/2(径は呼び名の数値。D13 → 13 mm)として自動で計算します。配筋が「自動設定」の場合は、径ごとにこの距離で必要鉄筋量を求めて選定します。既定は壁体・底版とも 70 mm です。日本建築学会『鉄筋コンクリート造配筋指針』の設計かぶり厚さ(土に接する壁 50 mm、土に接する基礎・擁壁 70 mm)を下回ると注意を表示します。建築基準法施行令第79条(同令第142条第2項で擁壁に準用)の最小値は、直接土に接する壁 4 cm、基礎(捨コンクリートの部分を除く)6 cm です(下回るとその旨を表示)。
  • CB土留めではブロックの種類(A・B・C種、型枠状)を選ぶと、ブロック塀規準 3条資料 資料表3.1 の壁体重量から単位重量が決まります(「任意」で直接入力も可)。縦筋の有効せい d は既定 t/2(中心配筋)です。

適用範囲・注意(先に確認)

  • 高さ 2 m を超える擁壁は工作物として確認申請が必要です(建築基準法第88条第1項、同法施行令第138条第1項第五号)。宅地造成等工事規制区域・特定盛土等規制区域内では、宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 第8条〜第12条(擁壁の設置・構造・水抜穴)の技術的基準の適用を確認してください。
  • 同令第8条第1項第二号により、同法で設置が義務付けられる擁壁は鉄筋コンクリート造・無筋コンクリート造・練積み造に限られます。CB土留めは同法の擁壁には該当しません(同令第17条の国土交通大臣の認定を受けたものを除く)。
  • 水圧は考慮していません。水抜穴(壁面の面積 3 m² 以内ごとに内径 7.5 cm 以上を 1 個以上)と透水層を設け、土くさび内に水位が生じないことが前提です(同令第12条)。
  • 前面の受働土圧は原則として滑動抵抗に見込みません(見込む場合は「詳細設定」で受働土圧の 1/2 を算入します)。
  • CB土留め: ブロック塀規準 4条1項(7) は「ブロック壁体は土に接して設けてはならない。ただし、土に接する部分の高さが 400 mm 以下でその部分の耐久性・安全性を考慮した場合は、この限りでない」としています(解説:C種または型枠状ブロックとし、空洞部をすべて充填する等)。本アプリは土に接する高さ(背面土天端 − 前面GL)が 400 mm を超えると注意を表示します。ブロック壁の圧縮側・充填モルタル・目地の検討は対象外で、ブロック壁のせん断の許容値は保留(暫定値)です。
  • 練積み擁壁(間知ブロック)、重力式擁壁、もたれ式擁壁は対象外です。底版下の地盤の支持力・沈下、地盤改良、杭による支持は別途検討が必要です。

(1) 全体フロー

  1. 形状と重量 — 壁体 W1(+天端荷重)、底版 W2、かかと版上の土+表面載荷 W3、つま先版上の土 W4(任意)と各重心。
  2. 土圧 — かかと版後端を通る鉛直な仮想背面(高さ Hv)に作用する主働土圧 PA と表面載荷による土圧 Pq(地震時は物部・岡部式+慣性力)。
  3. 安定計算 — つま先を回転中心とする転倒、底版下の滑動、接地圧(支持力)と偏心。
  4. 断面設計 — 壁体基部・中間(片持梁)、底版前部(つま先)・後部(かかと)の曲げ・せん断に対する配筋と検定比。
  5. 判定 — 常時(および地震時)の全項目の最大検定比 ηmax で総合判定。判定に含めない注意事項は別に表示。

(2) 土圧

安定計算では、かかと版後端の鉛直面を仮想背面とし、その高さ Hv(背面土天端=壁天端 − Hp、背面勾配 β があれば後端までの立上りを加算)に対して次の合力を作用させます。 仮想背面は土と土の面なので、壁面摩擦角は δ=β(水平背面なら 0)とします。

$$ P_A=\tfrac12 K_a\,\gamma_s\,H_v^{\,2},\qquad P_q=K_a\,q\,H_v $$ $$ P_H=P_A\cos\delta,\quad P_V=P_A\sin\delta\ \ (\text{作用高さ } H_v/3),\qquad P_{Hq}=P_q\cos\delta,\quad P_{Vq}=P_q\sin\delta\ \ (\text{作用高さ } H_v/2) $$

[宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 第9条第3項第一号・別表第二 / 宅地防災マニュアル Ⅷ・3・2・2 / 構造設計講座(擁壁編)テキスト 5章]

土圧係数 Ka は次のいずれかで求めます(φ:背面土の内部摩擦角、β:背面土の勾配、δ:壁面摩擦角、α:壁背面が鉛直面となす角。仮想背面は α=0、壁体背面は α=tan−1(T3/H′)(H′:底版上面〜壁天端。背面土が壁の上に張り出す向きを正))。

直接入力同令 別表第二の値(砂利又は砂 0.35、砂質土 0.40、シルト・粘土又はそれらを多量に含む土 0.50)や行政指導値をそのまま用います。壁面摩擦は見込みません(δ=0)。
クーロン式$$K_a=\dfrac{\cos^2(\varphi-\alpha)}{\cos^2\alpha\,\cos(\alpha+\delta)\left\{1+\sqrt{\dfrac{\sin(\varphi+\delta)\sin(\varphi-\beta)}{\cos(\alpha+\delta)\cos(\alpha-\beta)}}\right\}^2}$$ 安定計算(仮想背面、α=0)は δ=β、壁体設計は δ=2φ/3。
ランキン式$$K_a=\cos\beta\,\dfrac{\cos\beta-\sqrt{\cos^2\beta-\cos^2\varphi}}{\cos\beta+\sqrt{\cos^2\beta-\cos^2\varphi}}$$(β=0 で (1−sin φ)/(1+sin φ))。土圧は背面に平行(δ=β)。式に α を含まないため、壁体設計も鉛直面の土圧とします。
試行くさび法すべり面角 θ を変化させ $$K=\max_\theta\dfrac{(1+\tan\alpha\tan\beta)(1+\tan\alpha\tan\theta)\sin(\theta-\varphi)}{(\tan\theta-\tan\beta)\cos(\theta-\varphi-\delta-\alpha)}$$ を求めます(平面の地表面ではクーロン式と一致)。H0 を与えると仮想背面をその分嵩上げします。
地震時物部・岡部式 $$K_{AE}=\dfrac{\cos^2(\varphi-\alpha-\theta_k)}{\cos\theta_k\cos^2\alpha\cos(\alpha+\delta+\theta_k)\left\{1+\sqrt{\dfrac{\sin(\varphi+\delta)\sin(\varphi-\beta-\theta_k)}{\cos(\alpha+\delta+\theta_k)\cos(\alpha-\beta)}}\right\}^2},\quad \theta_k=\tan^{-1}\dfrac{k_h}{1-k_v}$$ 壁体背面の壁面摩擦角は δ=φ/2、仮想背面(α=0)の壁面摩擦角は $\delta_E=\beta+\tan^{-1}\dfrac{\sin\varphi\sin(\zeta+\theta_k)}{1-\sin\varphi\cos(\zeta+\theta_k)}$、$\zeta=\sin^{-1}(\sin\theta_k/\sin\varphi)$。 本アプリは地震時土圧に躯体・かかと版上の土の慣性力 kh·ΣW(重心高さに作用)を同時に加えます。宅地防災マニュアル Ⅷ・3・2・2 3) は「地震時土圧による荷重」と「自重による慣性力+常時土圧」の大きい方としており、本アプリはそれより安全側です。表面載荷は既定では考慮しません(チェックで考慮可)。

[宅地防災マニュアル Ⅷ・3・2・2(地震時は物部・岡部式または試行くさび法)/ 道路土工 擁壁工指針(平成24年度版)/ 大阪府 宅地造成に関する設計指針 4.4]

(3) 安定計算

a) 転倒

$$ M_R=\sum W_i\,x_i+(P_V+P_{Vq})\,B,\qquad M_T=P_H\frac{H_v}{3}+P_{Hq}\frac{H_v}{2}\ (+k_h\Sigma W\cdot y_c),\qquad F_s=\frac{M_R}{M_T} $$

xi はつま先(底版前端)からの距離(W3 の背面土は、背面勾配・壁背面の傾き・底版上面の勾配を含む土の断面の重心)、B は底版幅。常時 Fs ≧ 1.5(転倒モーメントが安定モーメントの 2/3 以下)、地震時 Fs ≧ 1.0(推奨 1.2 以上)。 合力の作用位置 d=(MR−MT)/ΣV と偏心 e=B/2−d を求め、常時 e ≦ B/6、地震時 e ≦ B/3 も併せて確認します。

[宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 第9条第2項第二号 / 道路土工 擁壁工指針(偏心の制限)]

b) 接地圧(支持力)

$$ |e|\le\frac B6:\ \sigma_{\max,\min}=\frac{\Sigma V}{B}\left(1\pm\frac{6e}{B}\right),\qquad |e|>\frac B6:\ \sigma_{\max}=\frac{2\,\Sigma V}{3\,d'}\ (d'=\min(d,\,B-d)),\ \sigma_{\min}=0 $$ $$ \sigma_{\max}\le q_a\ \ (\text{常時・長期}),\qquad \sigma_{\max}\le q_a'\ \ (\text{地震時・短期}) $$

合力が底版中央より前(つま先側)にあれば σmax はつま先に、後ろ(かかと側)にあればかかと側に生じます。底版の断面設計にはこの向きを反映した分布を用います。地震時は短期許容支持力 qa′ と比較します(入力が空欄のときは長期の 2 倍)。

[宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 第9条第2項第四号・第3項第二号 / 建築基準法施行令第93条(短期は長期の 2 倍)/ 平成12年建設省告示第1113号(地盤の許容応力度)]

c) 滑動

$$ F_s=\frac{R_H+R_p}{\Sigma H},\qquad R_H=\mu\,\Sigma V\ \ (\text{突起なし}) $$ $$ \text{突起あり: } R_H=\frac{\sigma_1+\sigma_3}{2}\,l_1\tan\varphi_B+c\,l_1+\frac{\sigma_3+\sigma_2}{2}\,l_2\,\mu $$

常時 Fs ≧ 1.5(滑り出す力が抵抗力の 2/3 以下)、地震時 Fs ≧ 1.0(推奨 1.2 以上)。 μ は同令 別表第三(岩・岩屑・砂利又は砂 0.5、砂質土 0.4、シルト・粘土又はそれらを多量に含む土 0.3(基礎底面から 15 cm 以上を砂利又は砂に置換した場合に限る))、または土質試験による μ=tan φ(宅地防災マニュアル Ⅷ・3・2・3。基礎地盤が土の場合は 0.6 以下。超えると注意表示)。 突起がある場合、突起前方の底版長 l1 の区間は土と土のすべり(tan φB、粘着 c)、後方 l2 は底版と土の摩擦 μ で抵抗するものとします。 受働土圧 Rp=Pp/2(Pp=½γDf²·tan²(45°+φ/2))は「考慮する」を選んだときのみ算入します。

[宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 第9条第2項第三号・第3項第三号・別表第三 / 宅地防災マニュアル Ⅷ・3・2・3 / 大阪府 宅地造成に関する設計指針 5.3・図5-3(突起)]

(4) 断面設計

設計断面と適用範囲(構造図の紫の破線)

  • 壁体基部:底版上面(壁の付け根)の断面で設計し、付け根〜中間位置に適用します。
  • 壁体中間:付け根から高さ比 a·H'(H':底版上面〜壁天端、a は「詳細設定」、既定 0.5)の断面で設計し、中間位置〜天端に適用します。
  • 底版前部(つま先):壁体前面から底版前端まで。
  • 底版後部(かかと):壁体背面から底版後端まで。

底版はいずれも壁体面を固定端とする片持版です。

a) 壁体(片持梁)

壁体は底版上端で固定された片持梁とし、背面に作用する土圧の水平成分で設計します。壁体背面の土圧係数 Kaw はクーロン・試行くさびで δ=2φ/3、ランキンで δ=β、直接入力で δ=0、地震時は δ=φ/2 とします。クーロン・試行くさび・地震時は壁背面の傾き α=tan−1(T3/H′) を式に入れ(T3>0 では背面土が壁の上に張り出すため土圧が大きくなります)、土圧は壁背面の法線から δ 傾くので水平成分は kw=Kawcos(δ+α) を用います(ランキン・直接入力は α=0。「壁面摩擦角を無視」で cos を掛けません)。土圧の作用高さ h は底版上端から背面土天端まで(=壁体高 − Hp)。

$$ M=\frac{k_w\gamma_s h^3}{6}+\frac{k_w q h^2}{2}\ (+M_{慣性}),\qquad Q=\frac{k_w\gamma_s h^2}{2}+k_w q h\ (+Q_{慣性}) $$

壁体基部は底版上面(壁の付け根)の断面、壁体中間は付け根から a·H'(H':底版上面〜壁天端、a:「設計位置(高さ比)」、既定 0.5)の断面で同様に計算します(壁厚は直線補間)。曲げモーメントは下ほど大きいため、基部の配筋は付け根〜中間位置、中間の配筋は中間位置〜天端の範囲を受け持ちます。

[構造設計講座(擁壁編)テキスト 8章 / 道路土工 擁壁工指針]

b) 底版(つま先版・かかと版)

つま先版は壁体前面を固定端とする片持梁で、接地圧(上向き)から版の自重と版上の土を差し引いた荷重で設計します。 かかと版は壁体背面を固定端とし、接地圧から版の自重・背面土+表面載荷・土圧の鉛直成分(PV+PVq、自由端に集中)を差し引きます。背面土は壁体背面の位置と後端の土の高さによる台形分布とします(背面勾配 β があると後端ほど重くなります)。 固定端の荷重強度 w1、自由端 w2、長さ L の台形分布荷重に対する固定端応力は

$$ M=\frac{(w_1+2w_2)\,L^2}{6},\qquad Q=\frac{(w_1+w_2)\,L}{2},\qquad \text{集中荷重 } P\ (\text{距離 }D): M=P\,D,\ Q=P $$

M の符号は上向き(接地圧)が卓越すれば正(下端引張)、下向き(土・自重)が卓越すれば負(上端引張)で、配筋の位置はこれに従います。検定は |M| で行います。

c) 配筋と応力度(RC)

$$ a_t=\frac{M}{f_t\cdot j},\quad j=\frac78\,d,\quad d=t-d_t,\qquad \tau=\frac{Q}{b\,j}\le f_s\quad(b=1000\ \mathrm{mm}) $$ $$ f_s(\text{長期})=\min\!\left(\frac{F_c}{30},\ 0.49+\frac{F_c}{100}\right),\qquad f_s(\text{短期})=1.5\times f_s(\text{長期}) $$

ft は鉄筋の許容引張応力度で、径ごとに指定した材種による(SD295A・B:長期 195/短期 295、SD345:長期 215(D29 以上は 195)/短期 345、SD390:215(195)/390、SD490:215(195)/490 N/mm²)。 fs はコンクリートの許容せん断応力度(Fc18 → 0.60/0.90、Fc21 → 0.70/1.05、Fc24 → 0.73/1.10 N/mm²)。 せん断は RC規準 15条の割増し係数 α を 1 とした簡略検定(安全側)です。検定比は η=at/(選定配筋の断面積)と τ/fs の大きい方で判定します。 なお、宅地造成及び特定盛土等規制法施行令第9条第3項第二号は建築基準法施行令第90条・第91条の長期の許容応力度の例によるとしており、RC規準 6条の長期の値はこれ(及び平成12年建設省告示第1450号)と整合しています(RC規準 6条解説)。

[RC規準 6条 表6.1・表6.2(許容応力度)/ 13条 (13.1)式(M=at·ft·j、j=(7/8)d)]

d) コンクリートブロック壁(CB土留め)

ブロック壁の縦筋は空洞部の中心に配筋されるため、有効せい d=t/2(入力で変更可)、応力中心間距離 j=(5/7)d とし、 at=M/(ft·j)、τ=Q/(b·j) で検定します(ブロック塀規準 5条解説 (解5.1) の許容曲げモーメント Ma=at·ft·j による)。 常時の土圧は長期荷重なので ft は長期の値を用います(同解説は地震力に対する検討のため短期 295 N/mm² を用いている)。 ブロック壁のせん断の許容値 fs は同規準に規定がないため保留とし、暫定値 0.30/0.45 N/mm² を入力欄で設定します (同規準は全充填の門柱・控柱の検討で Fc18 の短期許容せん断応力度 0.9 N/mm² を用いている)。底版は RC として設計します。

$$ M_a=a_t\,f_t\,j,\qquad j=\frac57\,d,\qquad d=\frac t2 $$

壁体の重量はブロックの種類と厚さから次表(ブロック塀規準 3条資料 資料表3.1、kN/m²)により、中間の厚さは直線補間します。型枠状ブロックは 0.024·t(t: mm。全充填で 24 kN/m³)です。

ブロックの種類t=120 mm150 mm190 mm
A種1.6(13.3 kN/m³)2.0(13.3)2.5(13.2)
B種1.9(15.8)2.4(16.0)2.9(15.3)
C種2.0(16.7)2.7(18.0)3.0(15.8)

[ブロック塀規準 2条(材料:鉄筋 D16 以下、充填材 18 N/mm² 以上)/ 3条資料 資料表3.1(壁体重量)/ 4条1項(7)(土に接する高さ 400 mm 以下)/ 5条解説 (解5.1)(j=(5/7)d、d=壁厚の1/2)]

(5) 判定方法

各検定項目について η=要求値/算定値(安全率は 要求 Fs/算定 Fs、偏心は |e|/限界値、支持は σmax/qa、部材は必要鉄筋量/配筋量 と τ/fs)を求め、η ≦ 1.0 で OK。 常時と地震時(実施時)のすべての項目の最大値 ηmax で総合判定します(種別に無い部材は含めません)。判定は丸め前の内部値で行います。

次の注意事項は判定に含めず、判定欄の下に ⚠ で表示します。

  • 地震時の転倒・滑動安全率が推奨値(既定 1.2)未満(必要値 1.0 は満足している場合)。
  • 底版下の摩擦係数 μ が 0.6 を超える(宅地防災マニュアル Ⅷ・3・2・3)。
  • CB土留めで、ブロック壁体が土に接する高さが 400 mm を超える(ブロック塀規準 4条1項(7))、またはブロック厚が 120 mm 未満(同 3条2項)。
  • かぶり厚さが設計かぶり厚さ(壁体 50 mm・底版 70 mm。日本建築学会『鉄筋コンクリート造配筋指針』)未満。建築基準法施行令第79条の最小値(壁体 40 mm・底版 60 mm)未満の場合はその旨を表示(旧版のデータは引張鉄筋重心までの距離から推定)。
  • 背面土の勾配 β が内部摩擦角 φ を超える(β>φ の斜面は粘着力がないと自立せず、クーロン式・ランキン式は根号内が負、試行くさび法は土圧が収束せず、解がありません)。地震時の検討を行う場合は、β が φ−θk を超える(物部・岡部式の根号内の sin(φ−β−θk) が負)。β の入力欄の下にも表示します。

(6) 適用範囲・注意事項

  • 片持梁式の直線擁壁(単位長さ)を対象とし、コーナー部・控え壁・段差部・杭基礎は対象外。
  • 背面土の勾配 β は φ 以下(地震時は φ−θk 以下、θk=tan−1kh。kh=0.25 で θk≒14.04°)とします。超える場合も算定は続けますが、得られる Ka は正しい値ではありません(クーロン式・物部・岡部式は根号内を 0、ランキン式は √ の中を 0 として計算し、試行くさび法はすべり面が斜面と平行に近づくほど土圧が大きくなり収束しません。注意を表示)。法尻からの距離で土圧が変わる有限盛土は扱いません。
  • 地震時の土圧は物部・岡部式のみ(試行くさび法の地震時は未対応)。設計水平震度 kh は入力値で、既定は 0.25(宅地防災マニュアルが大地震時の盛土の安定計算に用いる 0.25×Z の Z=1.0 相当)。
  • 接地圧が三角形分布(e>B/6)となる場合も計算は続けますが、常時は偏心の検定で NG になります。
  • 底版の断面設計は接地圧を線形分布とし、突起・杭による反力の再配分は考慮しません。

(参考文献)

  1. 宅地造成及び特定盛土等規制法施行令(昭和37年政令第16号)第8条〜第12条、第17条、別表第二(土質別の単位体積重量・土圧係数)、別表第三(摩擦係数).
  2. 建築基準法 第88条、建築基準法施行令 第79条・第88条・第93条・第138条・第142条.
  3. 平成12年建設省告示第1449号 第三(擁壁の構造計算の基準).
  4. 平成12年建設省告示第1113号(地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力).
  5. 日本建築学会『鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説』2018年(6条 許容応力度、13条 梁の曲げに対する断面算定).
  6. 日本建築学会『鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説』(設計かぶり厚さ).
  7. 日本建築学会『コンクリートブロック塀設計規準・同解説』(壁式構造関係設計規準集・同解説(メーソンリー編)所収).
  8. 国土交通省『宅地防災マニュアル』(Ⅷ 擁壁).
  9. 日本道路協会『道路土工 擁壁工指針』平成24年度版.
  10. 大阪府 住宅まちづくり部 建築指導室『宅地造成に関する設計指針』(4 荷重、5 安定計算、図5-3 突起).
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